【超実践版】企業向け新規事業立ち上げのパターンまとめ



昨今新規事業に取り組む手段がかなり多様化されている一方で、事業会社におけるスタートアップとの関わり方や、社内ベンチャーの立ち上げ、新規事業の立ち上げに関する悩みや失敗も増えています。

今回の記事では、「既存事業に代わる新規事業を始めたいけど、何から手を付けていいか分からない…」「スタートアップやベンチャーと何らかの関わりを作りたいけど、どんな手段があるか分からない…」といったお悩みがある方にお届けできればと思います。


新規事業立ち上げの入口

新規事業を立ち上げる方法として、内部創出型と外部取込型の大きく2つあると考えています。


①内部創出型 ー社内から生み出して新規事業を立ち上げる

社内から生み出して新規事業を立ち上げるということは、以下のようなケースが考えられます。

  • 研究所の研究成果を元に新規事業にする

  • 新規事業部門で考えた事業アイデアを進める

  • 社内公募プログラムで新規事業を行う

▶社内ベンチャー/公募制度とは

従業員からアイデアを募って、集まったアイデアの中で可能性のありそうなものを選出し、実際に社内ベンチャーとして実行する形です。基本的には、社内メンバーで構成され、事業進捗に応じて一部予算を確保する形になります。また、社内の資産やネットワークの活用が可能です。


成功事例と失敗事例

少し古いですが王道の例でいうと、ソニーがWalkmanで音楽事業をやっていた時に、CDの規格を作って新たにCD Walkmanなどを広げた例や、東芝がDRAMメモリーをやっていた時に、NANDフラッシュを発明し、それを大きな新規事業として育て上げたといった事例があります。また、ソニーのプレイステーションのように、研究開発成果や発明の成果というよりは、新たな事業領域としてゲーム事業に狙いを定めて事業を作っていったりと、過去の成功事例はたくさんあると思います。

これらの成功要因はなにか?「事業を守ってくれる役員がいる」「社長又は幹部が経営戦略として狙う」など、会社としてのリソースをきちんと確保した点にあると考えています。(正確には知らないですが、恐らく「新規事業」という言葉自体もなかったでしょう) 一方でここ最近は、新規事業を進める際に新規事業部門で考えた事業アイデアを進めるとか、社内公募プログラムなどで新規事業を行うなどが一般的ではあると思いますが、この時に企業の中で起きやすい出来事は、新たに発明・開発したものやアイデアに対して、会社としてのリソースが確保されないことが多いということです。 会社としてのリソースを確保してもらうために、引き取ってくれる事業部を探し、事業内容が近いからと既存事業部の中に入れてしまう。しかし既存の事業部門としては、今の事業の売上が大きい一方で、スタートしたばかりの新規事業の売上は小さく、人材や資金などのリソースが結局既存事業に取られてしまって新規事業が育たない。又は、引き取ってくれる事業部がないために、事業を立ち上げるために必要な人材と資金が揃えられない…。結果、資金調達がうまくいかないスタートアップと同じような状況になってしまって、事業立ち上げができなくなってしまうということが起きているように思われます。

内部創出型の新規事業は「新規事業自体がうまくいくか?」という悩み以前に、「人材や資金といったリソースが確保できるか?」が一番の悩みとなりがちです。NANDフラッシュやプレステなどの成功した新規事業は、守ってくれる役員の方がいたなどで、人材と資金、そして試行錯誤の期間が確保できたのでうまく進んだと考えられます。


②外部取込型 ー外から導入する/外のものを取り込む

内部創出型だとうまくいかないケースも多いので、スタートアップへ投資したり、社内でCVCを作ってみたり、VCへのLP出資をして情報収集したり、ライトな例では、アクセラレーターなどでスタートアップと出会って協業/共創する、といったことを行う企業も最近増えてきています。もっと端的に取り込む方法として、既に事業成長できているスタートアップを買収する企業も多いでしょう。


▶アクセラレータープログラムとは

アクセラレーターはMVP製作~POCを行う段階のスタートアップを、インキュベーターは事業アイデアがある段階のスタートアップとして使い分けられる


アクセラレータープログラムとは、事業会社が主催者となりスタートアップとの協業や出資を目的として開催される活動のことを指します。 事業会社にとっては新規事業の立ち上げに繋がる場、スタートアップにとっては事業提携の発見の場となり、双方の事業成長速度を加速させることです。


▶コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)とは

CVCを作らずに、事業会社のBSから投資を行うケースもあります


コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)は、事業会社が設立するファンドもしくは、直接スタートアップに投資を行う仕組みです。CVCは、金銭的リターンだけでなく、事業シナジーも目的としています。 CVCは、事業会社が子会社として、GP(無限責任組合員)を作り、自社本体がLP(有限責任組合員)として出資を行います。

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「GP」とは? General Partner(無限責任組合)のこと。「運営者」として、有望な投資先を探したり、投資を実施します。そして対価として、管理報酬やキャピタルゲインが出た場合の成功報酬を受け取ります。 「LP」とは? Limited Partner(有限責任組合)のこと。「出資者」として、投資ファンドに運用益が出た場合、配当を得ることになります。

※スタートアップの発掘~投資や、ファンド管理等の業務を委託するという意味で、外部のベンチャーキャピタルをGPとして指名し、自社はLPとして参画する二人組合形式で出資を行う形もあります。

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失敗要因

しかし、大企業はスタートアップを企業規模から下に見てしまったり、下請けとして取り扱ってしまうケースがよく見られ、Win-Winの関係がなかなか実現せず、成果に繋がらない失敗ケースも多いです。さらに、スタートアップ投資を、ネットワークも経験も知識も不足したまま行い、資金を出すだけで何も得ることができなかった、ということもあるかと思います。また、社内でCVCやオープンイノベーションを立ち上げて、外部から技術や製品を紹介しても、担当部署が自社の技術/製品の方が優れているという対応で、対等に取り合ってくれない等の問題もあると思います。 事業企業がスタートアップを取り込む有効な方法は、情報収集を行い、M&Aで取り込むことにリソースと知見を集中していくことだと考えています。そしてM&Aで取り込むのは、事業そのものもありますが、人材を取り込むなど、様々な視点から考えられると思います。

ということで、事業会社がスタートアップ投資やCVCを作るだけでなく、ネットワークが豊富なVCへの投資を行い、VCと協調することも重要だと考えます。VCへの投資は、自社がリーチできないような情報を幅広く収集できるという点でメリットがあります。


▶VCへのLP出資とは

スタートアップへの直接投資ではなく、VCファンドへLPの立場で出資を行うことです。一般的に、機関投資家の場合は金銭的リターンを、事業会社は事業シナジーを狙った戦略的リターンを目的としてLP参画します。


以上、事業会社の立場から新規事業の入り口で取りうる選択肢についてご説明させていただきました。実状・実態につきましては、以下の記事をあわせてご確認いただくとより肌感覚が掴めるかと思います。

オープンイノベーションの実態【JSR株式会社】

オープンイノベーションの実態【電源開発株式会社】


新規事業立ち上げの出口

上記では新規事業立ち上げにあたっての着手の選択肢についてご説明しましたが、一方で、立ち上げた後の新規事業の取扱いに対して語られることは非常に少ない気がします。法律や税務、人事面にて様々な観点で語ることは可能な領域だとは思いますが、ここでは事業面における大分類と各選択肢の特徴についてお伝えできればと思います。


①部署として立ち上げる

・所属元企業の知名度を活かせる ・所属元企業とのシナジー効果が得られる ・新規事業も一律で同じ雇用体系となるため、人事異動がしやすい


①-A 既存部署で扱う

既存部署に見合わない売上・コスト額であっても他事業と相殺できるが、その代わり、人・予算等のリソースが割かれづらい。


①-B 新部署で扱う

人・予算等のリソースはしっかり割いてもらえるが、売上・コスト額が赤裸々となる。


②別会社として立ち上げる

・親会社に縛られず、独立採算で運営できる ・子会社社長として、担当者に経営者としての経験を積ませることができる ・新規事業の失敗が自社に影響を与えにくい


②-A 子会社として

比較的親会社の意向が反映させやすい傾向にあります。

ヒト(経営陣):親会社社員がメイン カネ(資本金):親会社からの出資 モノ(知見/アセット):親会社


②-B ジョイント・ベンチャー(JV)として

他社のブランドや技術ノウハウを取り込むことができる点が特徴的です。

ヒト(経営陣):親会社+パートナー企業 カネ(資本金):親会社+パートナー企業からの出資 モノ(知見/アセット):親会社+パートナー企業


②-C スタートアップとして

短期間で急成長する形態をとるため、外部の投資家からリスクマネーの資金調達ができる点が特徴的です。

ヒト(経営陣):外部のスタートアップ人材を取り入れることも可能 カネ(資本金):親会社だけでなく、個人投資家やVCからの出資 モノ(知見/アセット):親会社+株主


スタートアップスタジオSpireteでできること

スタートアップスタジオとは、事業アイデア創出~ビジネスモデル検証~MVP開発等の事業立ち上げフェーズに様々な役割/強みを持ったメンバーが入り込み、共同創業の形で事業を立ち上げる組織です。


結論からいうと、上記すべてをご相談いただくことが可能です。 グループ会社に独立系ベンチャーキャピタル「15th Rock Ventures」も抱えているため、VC設立のご相談も可能ですし、スタートアップスタジオ「Spirete」では、あらゆる事業会社と新規事業立ち上げの形を共創しています。 以下では、より解像度を上げていただくために、事業会社様と実際に実施していることを一部ご紹介させていただきます。


CASE1 新領域での事業のタネを探し、育成する

既存事業とは離れた新領域で事業を立ち上げる場合は、外部取込型のケースが多いと思います。一般的に、CVCや事業会社が投資するスタートアップのフェーズは、社内決裁の関係より、ビジネスモデルがある程度構築できた、スケール段階にあるレイターステージのスタートアップが多いです。このフェーズのスタートアップは、事業成長は見込める一方で、自社都合の融通が効きづらい傾向にあります。 また、既にレイターステージのスタートアップにはバリュエーションがある程度ついてしまっているため、数億~数十億の投資金額が必要となり、そうなると既存事業の延長線上にある領域でないと決裁を取ることが難しいといったジレンマも発生しがちです。


そこで、Spireteではスコープを少しずらし、事業会社としての狙いたい新領域に該当するシードステージ(技術シーズがあるor事業アイデアだけある状態)のスタートアップを探索し、選抜した複数のスタートアップに少額出資を行い、初期段階から事業会社のメンバーも入って、ともに事業立ち上げを行っていくというプログラムを実施しています。 Spireteでは、グローバルレベルでの大学・研究機関とのネットワークを活用し、テック系の情報収集を行います。加えて、各分野における専門家とも連携し、特定領域にフォーカスした新規事業アイデアを探索することも可能です。


【シードステージのスタートアップと出会うメリット】

  • 大学・研究機関の技術シーズ等の事業アイデアをもとに、数千万程度のPOC資金で複数の事業機会を探索できる

  • スタートアップ側も人材不足であることが多いため、ゼロイチフェーズの事業経営に関わることができる(+経営人材を育成することができる)

  • 日本はPOC資金制度があまり整っていないため、良い技術シーズ/事業アイデアが集まる可能性が高い

【実際の取り組み事例に関するプレスリリース】

スタートアップスタジオSpirete、領域を特化し大企業と共に事業を創出する「Startup Lab」を始動


CASE2 新規事業に外部のスタートアップ人材を取り込む

これまで行ってきた既存事業とは全く異なる新領域の事業に取り組む際、社内のリソースやインフラは活用しずらくなるので、社外の人材やネットワークを最大限活用する必要があります。

そこでSpireteでは、異業界/異業種同士の事業会社、大学/研究機関の研究者、外部のプロフェッショナルが集まる場を創造し、社外の多様な知見・経験を持つ人材とのコラボレーションを提供しています。 外部の人材とともに、事業アイデアを発掘するだけでなく、将来的にコアチームの一員として事業をドライブできるような人材の発掘も狙います。


【実際の取り組み事例に関するプレスリリース/note】

スタートアップスタジオSpirete、電源開発(Jパワー)と共同で微細藻類を用いた新事業創出に着手


CASE3 取り組んできた新規事業をカーブアウトする


社内の新規事業の失敗例として、社内で取り組むゆえに、意思決定のスピード感、予算・事業計画の厳しさ、事業責任者の選定の難しさ…等々が挙げられると思います。 そこでSpireteでは、その新規事業を本体から切り離し、スタートアップとしてのカーブアウトすることをご提案しています。スタートアップとしての独立は、販売経路や知名度などの既存資産を活用しつつ、事業の成長スピードを最大限加速できると考えています。


【スタートアップとしてカーブアウトするメリット】

  • 素早い意思決定が可能になるため、迅速な事業展開がしやすい

  • 社外のスタートアップ人材を加えたチームビルディングが可能になる

  • エンジェル投資家やVC等の、外部投資家からの資金調達ができる​

  • スタートアップとしての事業が失敗したとしても、起業/事業立ち上げ人材の育成が可能

  • 双方のニーズが合えば、買い戻すことも可能


【実際の取り組み事例に関するプレスリリース】

Spirete起業プログラムに、ヤンマーの新規事業が参画し、スタートアップ起業に挑戦。



最後に

Spireteでは、事業会社さまのあらゆるオープンイノベーションのお悩みに対してお答えしています。


「事業部で引き取れない等の理由がある新規事業をどうにかしたい」 「異業界・異業種の人材や専門家を混合させたチームを創りたい」 「外部からの事業アイデアや大学・研究機関の技術シーズを探索したい」 「スタートアップ創業初期に参画することで、経営人材の育成をしたい」


個々のお悩みに合わせてご提案できますので、まずはお話を伺いたいという方、カーブアウトを検討している案件があり相談してみたいといった方は、下記HPコンタクトフォーム or 「contact@spirete.com」までぜひお気軽にお問い合わせください。