スタートアップスタジオは、成功への最短距離か。ー海外事例に学ぶ

スタートアップスタジオという概念は、日本ではまだ馴染みがありませんが、欧州・米国では先行事例が多々あります。ということで今回は、海外のスタートアップスタジオ状況にフォーカスしてみました。


本記事はこんな方々におすすめです。 「スタートアップスタジオにおける起業成功率が気になる人」 「スタートアップスタジオへの参加を検討している人」 「スタートアップスタジオ自体の立ち上げに興味がある人」


スタートアップスタジオの始まり

スタートアップスタジオは、1996年にBill Grossがインキュベーターとして運営していたIdealabから始まりました。2007年の経済危機以降は、スタジオモデルが急増しており、まさにスタートアップスタジオトレンドが来ています。 2013年時点では約80しかなかったスタジオが、2019年時点で200を超え、わずか5年で250%の成長を遂げました。そして2023年までに、さらに多くのモデルが登場することが予想されています。


VCとスタートアップスタジオの根本的な違い

ThibaudElziere氏による「Startup Studios: The Rise of Human Capital」より抜粋

VCは、幅広く投資を行います。 スタートアップスタジオは、基本的に年に数社しかスピンアウトしません。

スタートアップスタジオでスタートアップとしてスピンアウトさせるには、より多くの「資本」を必要とします。そして、その資本を補うために、多くのスタジオでは、他プレイヤーよりも多くの「株式」を取得する傾向にあります。 つまり、スタートアップスタジオから生まれるスタートアップは、成功すればリターンの可能性が極めて高い、とも言えます。多様性の穴を補うために、スタートアップスタジオは、資本の投入先をより集中し、勝者の可能性に重点を置くモデルです。


スタジオから生まれたスタートアップ

Him & Hers

サンフランシスコのスタートアップスタジオ「Atomic」から、2017年に立ち上げられた「Him & Hers」は、ヘルスケアD2Cスタートアップで、男女両方に焦点を当てたウェルネスブランドプロダクトと遠隔診療サービスを兼ね備えています。現在、評価額16億ドルで、アメリカ史上2番目の速さで10億ドルの評価額に到達しました。 Atomicの創業者で、このHims&Hersを立ち上げた、Andrew Dudumは、当社を本格的な遠隔医療プラットフォームに実現するため、バーチャルプライマリーケア訪問やメンタルヘルスサービスまで拡大する予定で、評価額200億ドルまで引き上げることを視野に入れています。


VacationRenter

サンフランシスコのスタートアップスタジオ「Wilbur Labs」から、2017年に立ち上げられた「VacationRenter」は、主要な旅行サイトにある全てのバケーションレンタル(民宿や貸別荘)を集約し、世界中のバケーションレンタルの検索と予約を簡単にできるサービスを立ち上げました。 新型コロナウイルスによって、他社サービスが低迷したのに対し、VacationRenterは成長しています。非接触型チェックインや清掃の強化によって衛生面の安全を確保し、その時々の旅行者のニーズに合わせて検索をカスタマイズしたことで、質の担保されたバケーションレンタルを10万件以上を提供することに成功、予約総数も10億ドルに達しました。


Dollar Shave Club

ロサンゼルスのスタートアップスタジオ「Science」から、2011年に立ち上げられた「Dollar Shave Club」は、髭剃り用のシェイバーセットを自宅に届けるサブスクサービスです。Dollar Shave Clubは、YouTubeで公開した動画をきっかけに、爆発的な成長を遂げました。 VC機能も持ち合わせるScienceは、2012年にDollar Shave Clubへ10万ドルを投資、わずか2年後の2014年にはDollar Shave Clubは6,500万ドルの売り上げを記録しました。そして2016年には、ユニリーバが10億ドルで当社を買収しました。


スタートアップスタジオにおける起業成功率

スタートアップスタジオで創出されたスタートアップは、従来に比べ、約1/2の期間で、シード・シリーズAでの資金調達に成功しています。

従来のスタートアップは平均して、創業~シードラウンドまでに「36ヶ月」、シードラウンド~シリーズAまでに「20ヶ月」を要しています。一方、スタジオ創出のスタートアップは平均して、創業~シードラウンドまで「10.7ヶ月」、シードラウンド~シリーズAまで「14.5ヶ月」で到達しています。

さらに、従来のスタートアップのExitまでの業界平均は「約6.6年」であるのに対し、スタジオ創出のスタートアップは「約3.85年」であることが調査で示されています。(Global Startup Studio Networkの2020年版White Paperより)


海外のスタートアップスタジオプレイヤー

Betaworks

  • 2007年設立のニューヨークに拠点を置くスタートアップスタジオ

  • AOL、Time Warner で勤務後、Fotologの起業/売却を経験したJohn Borthwick氏が設立

  • VCも並列で保有している

  • インハウスで事業を創るケースと、買収したスタートアップのビジネスモデルを作り替えるケースがある

  • ポートフォリオのうち39件がM&A Exit

  • 代表創出企業:bitly、Giphy、Tumbler、Chatbeat

Science

  • 2011年設立のロサンゼルスを拠点に置くスタートアップスタジオ

  • MyspaceのCEOであるMike Jones 氏が設立

  • 特にeコマース分野に強い

  • VC機能も並列で保有し、スタートアップへの資金提供も行う

  • 40社以上のポートフォリオを持ち、8社がExit。ポートフォリオは8億ドル以上調達し、買収額は13億ドル以上にも

  • 代表創出企業:Doller Shave Club、FameBit、DogVacay、Pillow

eFounders

  • 2011年設立のフランスとベルギーを拠点に置くスタートアップスタジオ

  • Fotoliaの創業者であるQuentin Nickmans氏とThibaud Elziere氏が設立

  • 市場機会を特定した上で、プロジェクト推進に必要なCEOおよびCTOである「共同創設者」を採用するモデル

  • 27社のポートフォリオを持ち、4社がExit。ポートフォリオは4億ドル以上調達し、15億ドル以上の評価額

  • 代表創出企業:Aircall、Front、Spendesk

Atomi

  • 2012年設立のサンフランシスコを拠点に置くスタートアップスタジオ

  • Milo.comの創業者であり、Uber等のエンジェル投資家でもあるJack Abraham氏が設立

  • VC機能も並列で保有し、スタートアップへの資金提供も行う

  • 初期資金2,000万ドルから始め、2021年には2億6,000万ドルを含む追加資金を調達

  • 代表創出企業:hims、Bungalow、TalkIQ

HVF

  • 2011年設立のサンフランシスコに拠点を置くスタートアップスタジオ

  • PaypalやSlideを創業したMax Levchin氏が設立

  • VCは持っていない

  • 各アイデアにフォーカスするため、同時に進行するプロジェクトは2つまで

  • 代表創出企業:affirm、Divvy、Glow

Playground

  • 2011年設立のサンフランシスコに拠点を置くスタートアップスタジオ

  • Androidを創業したAndy Rubin氏が設立

  • VCがメインで、ハードウエア製造/試験設備などの様々な設備を保有

  • 投資先企業の開発や量産のサポートを行う

  • 代表創出企業:OwlLabs、FarmWise

スタートアップスタジオ「Spirete」について

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。 スタートアップスタジオについて少しでも興味をお持ちいただけたでしょうか?

Spireteの創業背景や特徴について詳しくお知りになりたい方は、ぜひお気軽にお問合せください。