【SX Lab結果報告レポート】創業期スタートアップと大企業が生み出した共創の成果とは?
- スタートアップスタジオSpirete
- 9月26日
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2025年8月5日(火)、Spirete、J-POWER、三井金属、TMIPが連携して開催したイベント「創業期ディープテックスタートアップと大企業の新しい共創戦略」にて発表された、「Sustainability Transformation Startup Lab (SX Lab)」プログラムの成果報告レポートを公開いたします。
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イベントでは、SX Labの最終審査に通過した3社の代表者とJ-POWER 中嶋さまと一緒に、Spireteの渡邉がインタビュアーとなってパネルディスカッションを実施いたしました。

はじめに、J-POWER 中嶋さまよりSX Labの成果をお話いただきました。

「今回の SX Lab には 40 社ものスタートアップから応募がありましたが、その背景には Spirete がプログラムとの親和性に基づき、300社以上を事前にピックアップしてオファーしてくれていたことが大きな助けになりました。
書類審査の末に6チームが残り、J-POWERの担当者も各社に伴走するかたちで事業プラン作成などの支援をいたしました。
最終的に将来有望な 3 社と出会い、出資にまで至ったことがこのプログラムの最も大きな成果です。しかし、それ以外にも得られたものがあります。
まず一次審査時点で、我々だけだとコンタクトが難しいプレシード期のスタートアップと接点を持てたことは大きな財産となりました。
また、これまで新規事業に関わる経験のなかったメンバーが、本プログラムを通じて成長したことも、大きな成果の一つだと感じています。」
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SX Labを通じて採択されたのは、環境微生物研究所、ハイドロヴィーナス、Watasumiの3社。
3社のみなさんにも、プログラムの課程を振り返っていただきました。
事業計画の支援など力強い"伴走"が印象的だったSX Lab
ーーSpirete渡邉「最終審査に至るまで様々な苦労があったと思いますが、J-POWERやSpireteからの伴走で手助けになった、と思えたことがあれば教えてください。」

「ずっと大学の中で生きてきたので、いままで事業計画というものを立てたことがありませんでした。それでもスタッフの皆さんが導いてくださり、なんとか事業計画を作ることができました。」

「まず、このプログラムで見出してもらって、J-POWERさんと一緒に実証試験ができたことが、事業の大きな助けになりました。また技術系の人間からすると、Spireteの皆さんがビジネス目線で事業計画の支援をしてくれたことが非常に役立ちました。
今までアクセラレータープログラムに参加することもありましたが、一時的な盛り上がりで終わってしまうということもよくありました。今回のSX Labは、参加時から「共創パートナーを探すんだ」という強い意志で選ばれるプログラムだと感じられ、今までのプログラムとの違いを感じていました。」

「今回のプログラムを通じて、事業計画のサポートはもちろん、採用活動の支援もいただけたことが大きな助けになりました。また沖縄出身のJ-POWERのスタッフさんが、顧客になりそうな方々を紹介してくださり、大変ありがたかったです。」
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技術への理解、社会的信頼や顧客の獲得、SX Labならではの参加メリット
ーーSpirete渡邉「プログラムに参加してよかった、と思えた場面や参加して感じたメリットはありますか?」
環境微生物研究所 / 馬場 保徳さん
「Spireteのスタッフが微生物の専門的な知識をきちんと学んで、専門用語で会話をしてくれるようになったことが印象的でした。
今までいくつかのアクセラレーションプログラムを体験してきましたが、技術のことを理解してお話ししてくれる人は多くはいませんでした。今回のプログラムに参加して、技術に真摯に向き合い、理解して伴走してくれるチームと出会えて本当に良かったなと思っています。」
ハイドロヴィーナス / 上田 剛慈 さん
今まではハードウェアだとすぐに「ディープテック」だと思われて、なかなか投資が決まりづらい状況もありました。その中でハードウェアにもちゃんと着目してもらえた部分が良かったと思いますし、「一緒に育てるんだ」という気持ちをちゃんと感じることもできたのがありがたかったです。
また、どうしてもスタートアップは応援される一方で、社会的な「信用」を得るのが難しいことがあります。これまで、信用面が障壁となって実現できなかった機会も多くありましたが、本プログラムにおいて J-POWER 様の支援を受けられたことで、第三者からの信頼を獲得できたことは非常に大きなメリットでした。
Watasumi / シンプソン・デイヴィッドさん
「シード期のスタートアップの価値を理解して投資してくれるところは、まだあまり多くありません。今回のプログラムに参加して、きちんと評価いただけたことが、まずありがたかったです。
また製造関係のパートナーや顧客など、さまざまなパートナーを一緒に探してもらえたことが大きな助けとなりました。」
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ーーSpirete渡邉「ありがとうございます。今後、事業展開していく時にどんなパートナーやお客様、もしくはコラボレーションの可能性を探しているか教えてください。」
環境微生物研究所 / 馬場 保徳さん
「当社の技術を使うことで、雑草などの廃棄物からエネルギーと肥料を作ることができます。なので、これら両方を有効活用できるような場所と協業できたら嬉しいです。
例えば、大きな農業法人。捨ててしまう葉を発酵してガスや電気を作ることができますし、発酵液は肥料として、またその畑に戻せば循環しながら活用してもらえます。エネルギーも肥料も両方活用していただける場所がありましたら、ぜひご紹介ください。」
ハイドロヴィーナス / 上田 剛慈 さん
「私たちは水があれば発電できる技術を持っているので、水に関わっている方で電力が必要だという方とのあらゆるコラボレーションを望んでいます。色々な方と組めば組むほど、この事業は豊かになると考えていますので、ぜひお声掛けください!」
Watasumi / シンプソン・デイヴィッドさん
「本社が沖縄ということもあり、製造メーカーなどのパートナーが見つかりにくいことが課題です。沖縄に限らず、日本全国もしくは海外のメーカーとのコラボレーションの可能性もあると考えていますので、ぜひご関心のある方はお声掛けください。」
Spirete渡邉「ありがとうございました!今後も様々なコラボレーションで各社が飛躍されることを願っています!」

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【SX Labを通じて採択された3社について】
◾️環境微生物研究所
環境微生物研究所は、牛の胃のルーメン液を用いて雑草や野菜くず等の植物性残渣を効率的に処理し、メタンガスや電気を創出するメタン発酵システムの開発・販売を行う、2022年8月創業の石川県立大学発のスタートアップです。植物性残渣の処理費を削減するとともに、発生するバイオガスの活用により循環型社会の実現に貢献します。ルーメン液を用いることで植物性残渣のみでも発酵可能なため災害時の熱源・電源としても活用可能です。
会社名:環境微生物研究所株式会社
◾️ハイドロヴィーナス
ハイドロヴィーナスは、水の流れにより半円柱型の振り子を振動させて発電する、革新的な水流発電システムの開発・販売を行う、2015年1月創業の岡山大学発のスタートアップです。独自技術の流体励起振動に基づいた水流発電とセンシングが可能なデバイスにより、オフグリッドのエネルギー・通信プラットフォームの形成を目指しています。
会社名:株式会社ハイドロヴィーナス
◾️Watasumi(ワタスミ)
Watasumiは、食品・飲料工場等からの排水を最先端の微生物の技術を使い、有機物を除去すると同時にエネルギーを創出する有機排水処理システムの開発・販売を行う、2021年10月創業の沖縄科学技術大学院大学(OIST)発のスタートアップです。微生物が有機物を分解する過程で電気を発生させる微生物燃料電池技術の応用により、コンパクトなモジュール構造で嫌気性処理を実現し、従来の好気性処理(曝気槽)と比較して電気代、汚泥処理コスト、設置スペース、CO2排出量を大幅に削減できます。
会社名:Watasumi株式会社
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